牧野富太郎から学ぶ、植物の、雑草の面白さ

power of weeds

“植物に感謝しなさい
植物がなければ人間は生きられません
植物を愛すれば、
世界中から争いがなくなるでしょう”

朝の連続テレビドラマの主人公として、今
再注目されている牧野富太郎博士の言葉です。

博士ゆかりの植物が集う、
高知県周辺の環境と見事に調和した牧野植物園に
念願叶ってこの夏訪れることができました。

ネームプレートが所狭しと並ぶ屋外の園内には、
3000種以上の植物が植えられているというから驚きです。

日本の植物分類学の父とも言われる牧野博士。
植物を心から愛する爛漫な人柄は、
そのままドラマのタイトル「らんまん」になるのも頷けます。

生涯で収集した押し葉標本は40万枚を超え、
新種や新品種など
1500種類以上の植物に学名を付けるなど
植物を知ることの大切さを広く普及した功績は計り知れません。

園内のあちらこちらには、
ドラマで取り上げられた植物のネームプレートに
可愛いらんまんマークが付いていました。

国土のおよそ67%、
約3分の2が森林面積でもある日本。
田舎育ちの私にとって、植物は身近な存在でもありました。

幼い頃は、小さなカタバミやスミレの花を摘んで
宝物のように大事に持って帰った思い出や、
シロツメクサやムラサキツメクサで花かんむりを作ったり
オオバコの茎で引っ張り合って遊んだりした思い出があります。

いつの頃からか、
それらの植物は雑草と呼ばれていることを知り
そこら辺に生えているし、どんどん生えてくるし、

やっかいで邪魔な存在だと扱われていることに
多少の違和感を感じつつも
雑草ってそんなもんなんだろうなと
それほど感心を示すことなく大人になりました。

無事に育って欲しいと自ら植えた植物は
枯れることが多いのに、
その横でスクスク育つ、名も知らぬ雑草たち。

どんなに抜いても切っても生えてくる。
なぜこんなにも雑草は元気なんだろう。

どこからともなくやってきて、
しっかと根付く雑草を見ているうちに
このパワーは何なんだ?と、
雑草の名前を調べるように。

そうして少しずつ身近な雑草の名前を知ったり
その特性や秘めたる力についても知るうちに、

幼少期に
母が作ってくれたヨモギ団子のいい香りや
ドクダミを乾燥させて作ったお茶を飲んだ記憶なども蘇り、
再び雑草が宝物のように思えて仕方なくなりました。

牧野博士は、雑草について
自身の著書の中でこう語っています。

“人々は道端の草や野原の草を
つまらぬ雑草といって見向きもしないけれども、
雑草といえどもこれを知れば
面白く感ずるようになります”

“どんなことでも、
何も知らずにただ見ているばかりでは
いっこうに面白く感じませんが、
予備知識を持っていれば
素晴らしく面白く感ずるものです”

“薬になる植物の知識を持っていれば、
いろいろ役に立ちます
昔の人はこうした植物のことをよく知っていて
日常用いていたものです”

“つまらぬ雑草と呼ばれるものも、
友達として付き合ってみると
どんな雑草でも
それぞれ面白いことがらを持っていて、
それを知ると忘れえないものになります”

“野や山に植物採集に行ったおり、
興味をおぼえた野草の種や
根などを持ち帰って、
庭で栽培するのも楽しいものです”

雑草と呼ばれるパワフルな植物を
少しずつ生活に取り入れるようになって
数年が経ちましたが

牧野博士の言葉通り、
雑草を知れば知るほど面白くなってきています。

地球温暖化ではなく、
地球沸騰化などと言われるような昨今

この暑さや焼け付くような日差しにも関わらず
スクスクと勢い良く育つ雑草について知り、
生活に取り入れていくことは
大切なことなのかもしれないと感じます。

今、テレビドラマで取り上げられていることで
多くの人が植物に関心を持つ
きっかけとなっていることは
きっと偶然ではなく必然のような気がしてなりません。

植物園という名称ではあるものの、
展示館やシアター、
温室や見晴らしの良いレストラン、
オシャレなショップなどもあり
一日中いても楽しめる、
見どころ満載の充実した場所。

しかもなんと高校生以下無料!
大人も年間のフリーパスが3000円未満というリーズナブルさ。
近くに住んでいる人が羨ましい限りです。

園内で生き生き育っている
植物達も見応えがありますが、
人と自然との調和を意識して建てられた記念館も素晴らしく
自然素材をふんだんに使った名建築。
建築物としても評価され、数々の賞を受賞されています。

ちなみに、この記念館をデザインされた
内藤廣設計事務所には
木材を扱う会社に勤めていた頃に何度か伺ったことがあるのですが

様々な木材製品を
工夫しながら扱うことにチャレンジされていて
その想いも、スタッフの皆さんもとても素敵な事務所でした。

展示館には、晩年の牧野博士を垣間見れるコーナーも。

何度でも行って、植物の真髄に触れたくなる牧野植物園。
機会があればぜひ行ってみてください。


最後に、牧野博士のこの言葉で締め括りたいと思います。


“どうか皆さんも、植物に親しんでください
少しでも多くの知識を身につけてください
それが一生を通じ、どれほど人生を豊かにするか
分かってもらえると思います”

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