By / 暮らしの道具を作るということ bamboo work 普段使う暮らしの道具を、自分で作る。それができればきっと、何があってもやっていけるという自信に繋がりたくましく生きていけるんじゃないかと思っています。そのために竹は打ってつけの自然素材。中心が空洞なので軽いですしノコギリで切り出すのも容易。加工に必要な刃物の道具さえ揃えば、かごやざるはもちろん、箸やコップ、しゃもじ、すだれ、うちわ、ものさし、花器、耳かき、楊枝、串、バッグ、箒その他たくさんの道具を竹で作ることができます。竹トンボや水鉄砲、弓や笛、虫かごなどの遊び道具や尺八などの楽器や茶道具を作ることも。竹垣などの造園資材にもなるし、建築内装材としても使われています。そんな先人たちの知恵を受け継ぎ、次の世代に伝えていくために”竹活用プロジェクト”とこっそり名付け小さな一歩を踏み出しました。 竹林に佇むと思い出す詩があります。「光る地面に竹が生え、青竹が生え、地下には竹の根が生え、根が次第にほそらみ、根の先より繊毛が生え、かすかにけぶる繊毛が生え、かすかにふるえ。かたき地面に竹が生え、地上にするどく竹が生え、まっしぐらに竹が生え、凍れる節節りんりんと、青空のもとに竹が生え、竹、竹、竹が生え。」萩原朔太郎の『竹』の詩です。竹と竹の間から青空が見えるのは手入れされた竹林だからこそ。そんな竹林の中はとても心地よくて爽やかな風がスーッと通ります。残念なことに、放置された竹林だと鬱蒼として中に入ることも難しく日光を遮り、他の植物の成長を妨げてしまいます。また、横に横にと広く浅く根を張るので大雨の時など竹林ごと崩れ流されて土砂災害を引き起こしやすいと言われています。筍の匂いを嗅ぎつけたイノシシやシカが餌場としてやってきて荒らしたり棲みついたり。去年筍堀りをさせてもらったところではいいものはイノシシに先を越されてしまった、と話していました。 平成30年の林野庁の資料によると、日本の国土の3分の2が森林でそのうちの0.6%が竹林だそう。これも徐々に増えてきて、放置竹林が里山林に侵食してきているのだとか。 竹林面積の多い順で言うと、トップが鹿児島県、次いで大分、福岡、山口県と続き、島根、熊本の次がなんと千葉県。放置竹林の問題も、人ごとではありません。 成長した竹を切り、竹ヒゴを作るだけでも一苦労。しかも竹は背が高いので、1本からでもたくさんのヒゴを取ることができます。 今の活動が放置竹林の問題解決に少しでも繋がればと思いながらも、本当に微々たる一歩で遅々とした歩みに歯痒さを覚えます。 素敵なご縁を頂いたことがきっかけでスタートした竹ヒゴ作りではありますが、知れば知るほど面白い竹の魅力をもっと広めていけたら良いなぁと思っています。 放置竹林の問題は、まずは筍を食べることで貢献しようかな。 感想を送る