By / 知っているようで知らない竹の話 bamboo work 近隣の方のご紹介がきっかけで、竹の工芸品を作っている方とお知り合いになりました。わぁ、すごいなぁ。とても器用だし素敵!と思ったのと同時に、作れるようになりたいなぁと思っている自分がいました。すると、あれよあれよという間にその方から作り方をレクチャー頂けることになり竹細工作りに欠かせない竹ひごを作るための道具が揃い竹林を持っている方から竹材伐採の許可を頂くこともできて、あとはもう作るだけ、という状況に。そうして始めてもうすぐ半年が経とうとしているんですが、竹は身近な自然素材のようでいて、知らないことだらけ。毎回驚きや発見があってこれがまた面白いのです。知っているようで知らなかった竹のことその一つ、「竹の油抜き」をご紹介したいと思います。 まず驚いたのは、竹には油があるということ。油抜きという作業をやってみようということになった時もどんなことをするのか実際に見るまでは想像できませんでした。そもそもなぜ油抜きをすると良いのかというと切ったばかりの竹はカビたり虫の被害に遭いやすいので、油抜きをすることで耐久性が高まり長期保存も可能になるという訳です。竹の油抜きには、ガスバーナーなどを使う乾式の方法と熱湯に入れて薬剤と一緒にぐつぐつ煮込む湿式の2パターンあり、今回は乾式の方法で油抜きをすることになりました。焼き鳥用のガスコンロをお持ちの方からお借りすることができたので天気の良い日に、屋外で作業することに。焦げない程度に火に近付けて炙ることで竹の表面にブツブツと泡のようなものが浮き上がってくるので、ウエスなどで表面を拭き取ります。この泡のようなものが油で、拭き取るとウエスが真っ黒に。そうして拭き取った竹の表面は、汚れも一緒に落ちて艶のある美しい表情になりました。この後、約1ヶ月近く天日干しすれば完成になります。焼き鳥用コンロを使うと、竹の1節分を一気に焼くことができました。教えてくださっている方も、これは良い!と大絶賛。 ちなみに上の4本の竹は色々表情が違うのですが、右2本が焼き鳥器で炙った竹になります。艶が出ているのがお分かりになりますでしょうか。 一番左のマダラな竹は、ハンディタイプのガスバーナーで炙った竹。初めての油抜きで、ちょっと焦し過ぎちゃった感がありますね。 左から2番目は、油抜きをしていない竹になり白っぽい粉が付着しているような表情をしています。 それにしても、フツフツと泡が出てきた時は驚きました。竹に油があるなんて! そんなことは知ってて当たり前の時代があったのかもしれません。田畑の側には竹林があって、春には筍を収穫し、暮らしの道具の多くは竹で作り、建築材、造園材などにも用い生活の各所で竹を活用していた時代。はるか昔のように感じてしまいますが、実はそんなに昔の話でもない、と知ったのは焼き鳥器の持ち主である80代の方の思い出話から。幼少期、身の回りにプラスチック製品は無かったそう。おもちゃなどの遊び道具も無いので自分たちで竹を切って水鉄砲を作ったり竹トンボを作ったり。冬は雪が降るので、竹を縦に半分に割って靴に括り付けスキー板の様にして遊んでいたのだとか。そんな生活がガラッと変わったと感じるのは1970年に開催された大阪万博以降だと焼き鳥器で一緒に竹を炙りながらそう話してくれました。実はこの油抜き作業の前だったんですが、ご近所の方に出会ったので竹細工の話をしたらその方の祖父は竹かご職人だったというエピソードを聞いていました。 暮らしに竹が欠かせない時代を生きていた方々が目の前にいる。そんなに昔の話でもないことが驚きです。実際に油抜きの作業を体験したことで竹には油があること、こうしたひと手間に先人の知恵が詰まっていること、少し前までは竹が普通に使われていたことを知ることができました。 竹が水を吸い上げなくなり、水分量が減りはじめる11月前後が伐採に最適なシーズン。 せっかく油抜きに最適な焼き鳥器が調達できるので今年の秋も挑戦したいと思います。 興味ある方はお声掛けください。 感想を送る