これからの世代に残していきたいコト

Things I want to leave for the future.

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とある古民家の庭で育てている綿の畑です。

竹ざるには、摘んだ綿と乾燥させている最中の藍の葉っぱ。
収穫した綿から糸を作り、育てた藍の葉で染め、
機織り機を使って布を織り上げる。
その一連の工程を体験させて頂く機会がありました。

そしてその時に感じたことは、
なんて時間が掛かるんだろう!という驚きと
一つ一つの作業の中に、先人達の知恵と工夫が凝縮され
今日に至るまで脈々と受け継がれてきたという歴史の層。

綿から布を織り上げるまでも大変なのに
その布を衣服に仕立てたり、使えるようにするまでに
さらに月日が掛かります。

いつの間にか日常の全般において、いかに効率よく作業するか
それが行動の基盤になっていた私にとって
生活そのものを見直すきっかけともなった体験でした。

綿を摘んでもすぐに使える訳ではなく
綿のタネを取り出す作業や
綿打ちと言って綿をほぐす作業、
ほぐした綿を広げて棒状のよりこにする作業を経て
ようやく糸車でヨリをかけながら糸にしていくことができます。

糸が途中で太くなったり切れてしまったり
なんなら糸車の調子も悪くなって
一歩進んだと思ったらまた一歩後退し、
いつまで続くのだろう・・・終わるのかなと思っていた私は
その古民家を営む作り手さんの言葉にハッとしました。

「手間暇も掛かるし、不便でもあるけれど
一見無駄だと思うところで人の精神は回復しているんだと思うんです」

「こうやって作っているとね、精神的にも安心するんです。
世の中に流されにくいっていうのかな、自分で生きていけるって
体感として知っていると強さがわいてくる感じがあって。
食べるものもそう。不便だけどそこが面白くて」

なんて豊かなんだろうと思ったのと同時に、
これまでの人生、いかに効率よく物事を進めるかを重視し
心を置き去りにした生き方をしていたことに気付き、反省しました。

「暮らしのために営んできた生活のちょっとした技術は
手から手へ、人から人へ受け継がれてきたもの。
主に自家用だから、残らないんです」

そう聞いた時、あ、私は
そういう技術や考えをこれからの世代に残していきたい。
という想いがふっと湧いてきたんです。
今の活動に至るきっかけと言えるかもしれません。

ところで、綿の実が開いて弾けるときのことを
「綿が笑(え)む」
と表現することがあるんだそう。

そう思って見ていると、本当に綿が笑っているようにも
見えてくるから不思議です。

綿が笑むところ、ぜひ間近でご覧になってみてください。

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